「醸造アルコール」実は美味しさの隠し味

 -栃木最古の蔵元が語る、醸造アルコール使用の理由-

栃木の地酒蔵元がこっそり教える!明日から使える簡単マメ知識

皆様こんにちは! 日本名水百選の水が湧き出る栃木県佐野市で、延宝元年(1673 年)創業、 350 年以上の歴史を誇る栃木県内最古の蔵元、第一酒造の蔵人でございます。
私たちは、名水と自社栽培の酒米を用いて、やわらかな旨味と上品な香りの銘酒「開華」を醸しております。

以前、「吟醸酒・純米酒・本醸造酒」の分類について触れたコラムを書きましたが、今回はその中でも特に「醸造アルコール」について深掘りしてみたいと思います。 「醸造アルコールが入っているお酒は、なんだか安っぽい気がする……」 や「アル添のお酒はちゃんとしたお酒じゃないよね…」そんな誤解を解き明かす、蔵人だけが知る「美味しい理由」をお伝えします。

「かさ増し」ではありません。味わいの「デザイン」です。

「醸造アルコールを添加する」と聞くと、戦後の物不足の時代に行われていた、量を増やすための手法をイメージされる方もいるかもしれません。 しかし、現代の「特定名称酒(吟醸酒や本醸造酒など)」における醸造アルコール添加は、それとは全く目的が異なります。

私たち造り手が醸造アルコールを加えるのは、例えるなら「料理の最後に加えるスパイス」や「出汁に一滴垂らすお醤油」のようなものです。 お米と水だけで造る「純米酒」という完成された世界がある一方で、アルコールという隠し味を加えることで初めて表現できる、別の次元の「美味しさ」があるのです。

醸造アルコールがもたらす「香りの開放」

なぜ、未だに全国新酒鑑評会に出品するお酒の多くが醸造アルコールを含んだ大吟醸酒なのでしょうか? その最大の理由は、「香り」にあります。

日本酒のフルーティーな香り成分の多くは、水よりもアルコールに溶け出しやすい性質を持っています。 もろみを搾る直前のタイミングで、ごく少量の高純度なアルコールを加える。すると、米の粒子の中に閉じ込められていた香りがパッと解放され、お酒の中に鮮やかに溶け込んでいきます。 私たちが醸す「開華」の華やかな吟醸香は、この繊細な工程を経て、最大限に引き出されているのです。

「キレ」を生み出し、料理を主役にする

もう一つの大きな役割は、味わいの「骨格を整える」ことです。

純米酒は、お米の濃厚な旨味が魅力ですが、時にその「濃さ」が後味に残ってしまうことがあります。ここに醸造アルコールが加わることで、お酒の成分がキュッと引き締まり、後味がスッと消える「キレ」が生まれます。

この「キレ」こそが、食中酒としての日本酒を輝かせます。 脂ののったお刺身や、少し濃いめの味付けの料理。それらを一口食べた後に、キレの良いお酒を流し込む。すると、口の中がリフレッシュされ、次の一口がさらに美味しく感じられる……。 この「心地よい食事の連鎖」を生み出すために、私たちは醸造アルコールの力を借りて味わいをデザインしています。

蔵人が教える「楽しみ方の正解」

それでは、酒屋さんやオンラインショップでのお買い物に役立つ、蔵人流の使い分けをご紹介します。

  • お米の「力強さ」を味わいたいなら【純米酒系】 「開華」の純米酒は、栃木県産の酒米と名水のハーモニーが自慢です。お米そのものの甘みや、お燗にした時のふくよかさを楽しみたい時は、ぜひ純米系をお選びください。
  • 洗練された「香りとキレ」を楽しみたいなら【本醸造系】 ホームパーティーの手土産や、繊細なお料理と合わせるならこちら。グラスに注いだ瞬間の立ち上がる香りと、喉を滑り落ちるような透明感。これこそが、アルコール添加という技法が到達した一つの完成形です。

「アル添(アルコール添加)」という言葉には、かつてのイメージによる誤解がまだ残っています。 しかし実態は、香りを引き出し、キレを創り出すための、職人による「高度な足し算の技術」なのです。

次に「開華」を召し上がる際は、ぜひラベルの裏を見てみてください。 「あ、このキレはアルコールの魔法なんだな」 そう思いながら一口含んでいただければ、今まで以上に日本酒の深い世界を楽しんでいただけるはずです。

私たちは、どちらの造りにも一切の妥協をいたしません。 純米酒系・本醸造系、それぞれに込めた蔵人の想いを、ぜひ飲み比べて感じていただければ幸いです。

◇ちなみに、弊社の本醸造系の商品はこちらです。

・開華 35年古酒

・開華 30年古酒

・開華 15年熟成酒

開華 大吟醸 金賞受賞酒

開華 大吟醸 袋吊りしずく酒

開華 大吟醸

開華 佐藤の酒プレミアム

開華 吟醸生酒

開華 特別本醸造

開華 本醸造 辛口旨酒

開華 本醸造